通販化粧品のヒット商品に学ぶ、売れる商品開発の共通点

通販化粧品のヒット商品から考える売れる商品開発の共通点

通販化粧品では、クッションファンデーションやUVスティック、ニードルパッチ、オールインワン化粧品など、特徴的な形状や使い方の商品が次々とヒットしています。共通するのは、単なる「珍しさ」や「面白さ」ではなく、お客さまの不便を減らし、毎日のケアに役立つ合理性です。今回のコラムでは、通販化粧品の商品開発に必要な視点を、具体的なヒット商品から考えます。本稿は、『日本流通産業新聞』2026年8月6日・13日合併号に掲載された「強い通販化粧品会社になるために 基礎講座Q&A vol.128」です。

日本流通産業新聞
通販・ネットビジネス・健康食品・美容業界などの最新動向を専門的に取り上げる業界紙です。実務に直結する情報を多角的に発信し、多くのビジネス関係者に支持されています。

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ヒット商品は、「面白さ」より「役立つ」から生まれる

通販化粧品会社
開発担当者様

新商品開発にヒットの要素を盛り込みたいが…
他社通販化粧品のヒット商品を見てみると、これまでにあまり見なかったようなユニークな容器やパッケージ、使い方の商品が多いように思います。当社も何か新しい商品を開発したいと考えていますが、どのようなことからヒントを得たらよいでしょうか。

これまでの通販化粧品のヒット商品を思い浮かべてみると、パッケージと使い勝手の良さに特徴があるように思います。

通販商品なので、パッケージのかわいさやトレンド感で衝動的に選ばれる商品とは訳が違います。もちろん百貨店のラグジュアリーブランドのような華美なデザインでもありません。前からある商品でもあまりメジャーにはなっていなかったアイテムや、改めて見直すと使い勝手が良い形状など「地味に役立っている商品」こそ求められているのではないでしょうか。

例えば、「クッションファンデーション」。手が汚れないし、トントンするだけの使い勝手の良さが受け入れられたのではないかと思います。「UVスティック」も手を汚さないで重ね塗りができるアイテムとして人気商品になっています。目の下のたるみを解消するニードルパッチも、気になる部位に針状のシートを貼ることで、美容成分がストレートに届きます。

ペン型の美容液も気になるところにピンポイントで塗れるため無駄がないことが、良い評価につながっているのではないでしょうか。こちらは現在さらに進化して、微細な針状成分を配合することによって、塗るだけで美容液が肌の奥まで届く商品として多くの会社が販売し始めています。 一方古くからある泡洗顔や泡シャンプーも手軽にしっかりした泡が作れるので、楽なことが定番的な人気商品につながっている理由だと思います。

ヒット商品に必要なのは、「面白さ」よりも本当に役立つこと

いずれの商品も、かなり以前から存在していましたが、あくまでも「気に入った方はどうぞ」的なサイド商品でした。それがいつの間にか堂々のメイン商品として「単品通販」に躍り出てきた印象です。

これらのプチヒット商品に共通するのは「便利さ」ニーズに対応しているポイントがあること。つまり、手軽、片手で持てる、手が汚れない、時間短縮(タイパ)できる、それでいて肌悩みにはストレートに対応して、効果がより高く現れるような使い勝手になっており、本来の目的は外していないのです。

通販化粧品のヒットを生んだ「オールインワン」という発想

通販化粧品は、もともと店頭販売の化粧品に対するアンチテーゼから出発しているため、前述するような訴求ポイントは不可欠だと思います。その一番よい例が「オールインワンジェル」です。剤形によってゲル、あるいはクリームとネーミングしている会社もあります。通販化粧品の中では、過去に大ヒットした商品として多くのお客さまの記憶に残っていることでしょう。今でも大手メーカーのヒット商品として大きな売り上げを創出しています。この「手軽で、効果的、ストレートに役立つ」というのは、通販化粧品がヒットするための条件として、もはや「伝統」とも言えます。

オールインワン発想から広がる、ヒット商品のバリエーション

このオールインワン化粧品の伝統は、さまざまな商品に引き継がれて拡大し続けています。

例えば、W洗顔いらず、美容成分配合、温感でマッサージもできる「ホットクレンジングゲル」は、クレンジング&洗顔領域の大ヒット商品です。

またネーミングそのままに、朝の洗顔から下地まで1枚で完了する「オールインワンマスク」は、朝用オールインワンの分野で時間短縮(タイパ)のお手本です。

このように、パッケージの面白いものは、単に珍しいから売れている訳ではありません。とことんお客さまの目線で使い勝手に寄り添い、便利で、役に立ち、さらに効果が高いという究極の要望を具現化しているのです。つまりヒット商品を生み出すためには、「お客さまが何を求めていて、解決したい課題は何か」を考え、具現化する必要があるのではないでしょうか。

株式会社フォー・レディー 代表
鯉渕登志子

ヒット商品のヒントは、お客さまが日々感じている小さな不便の中にあります。商品開発の前に、お客さまの「欲しい」だけでなく、「困っている場面」を知ることも重要です。フォー・レディーでは、商品開発につながる潜在ニーズを見つけるための顧客調査をご支援しています。

あわせて読みたい:お客さまとつくる商品開発についての弊社代表インタビュー記事はこちら。顧客の声を商品に生かす考え方をお話しています。

深堀り!Q&A

商品開発では、まず何から考えればよいのでしょうか?

商品の形や成分より先に、「お客さまが感じている不便」を探すことです。
「手が汚れる」「工程が多い」「持ち運びにくい」「部分的にケアしたい」など、日常の小さなストレスには商品開発のヒントがあります。新しいものをゼロから考えるだけでなく、既存の商品を「もっと使いやすくできないか」と見直すことも重要です。

お客さま自身も気づいていないニーズは、どう見つければよいですか?

「欲しい商品」を聞くより、「困っている場面」を聞くことがポイントです。
「どんな化粧品が欲しいですか?」という質問だけでは、既存商品の延長線上の答えになりがちです。普段のスキンケアで面倒に感じることや、つい省いてしまうケア、使い切れなかった商品の理由などを聞くことで、潜在的なニーズが見えてきます。

AUTHOR
日本大学芸術学部卒業後、アパレル業界団体にてファッション経営情報誌の編集に携わり、カネボウファッション研究所を経て、1982年に株式会社フォー・レディーを設立。化粧品・ファッション通販企業の支援と、生活者視点のマーケティング発信に取り組んでいます。

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